2014年2月1日土曜日

読経

23日から毎朝晩読経。どの経を読めばいいのか。まずはネットで仏教宗派を調べてみる。幼いころに聞いた念仏から俺の家では浄土宗系だと知れる。念仏を唱えれば誰でも仏になれるという教義は俺にはピンとこないし、もともとその歴史が好みでない。系列を加えると最大宗派なようだが、単一の宗派で最もポピュラーなのは曹洞宗らしい。禅宗でこちらのほうが好みだ。教義は「座禅が悟り」。ただ座ることがそのまま悟りだという。これだ。上さんは座禅をしてみたいと言っていた。いざとなると出無精で、結局一度も行かなかったのだが、これが良かろう。主な経典は般若心経。短くて良い。ストリーミングで禅僧の読経を再生できる。今やいつでも流せるスマホ用アプリまである。朝番これらを再生しながら声を出して読む。その声が閻魔大王ら7日ごとに49日間現れる審判者に届くと、故人の生前の罪を減免されて成仏できる、という意味らしい。その真偽はともかく、なるほど声を出して経を読むことで、喪失感なのか不安感なのか心の痛みが和らぐ、…気がする。やはり先輩の言は聞くものだ。

宗派を調べているうちに、戒名やら位牌やら仏壇やらがリーズナブルに手にし得ることも知る。 核家族化が進んで小型でシンプルな仏壇需要が増えたことや、従来「お布施」という名の言わば不定価格に対して定価で見せて手配する企業が出てきたことによるようだ。仏僧界にもオープン化が進みつつあるということか。15年以上に渡る上さんの闘病やらや子供らの借金やらで破たん状態の家計だが、これならなんとか捻出できる。49日に間に合うようにと手配開始。

自律して家族を養うためにもまともな職探しにようやく本気になった次男Kが、昨夜問う。「ぼくらが居なくなったら、父さんは一人でどうするの?先々こうしようって考えていることがあるのかなあと思って…」急に経を読み始めたこともあって、どうやら俺が生きる希望を失っているのではないかと心配しているらしい。「とっとと海辺に移り住んで、仲乗りのバイトがてら釣り三昧。早いとこ稼げるようになってくれ」と応じる。よく観察しているらしく「このところ釣り行ってないね…」と、心憎いことを言う。「天気良ければ日曜にでも行くつもりや」と応じる。安堵の表情で「うん、そうしぃ」と話す様が上さんにそっくりだ。

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